- 細菌性食中毒は「感染型」「食品内毒素型」「生体内毒素型」の3つに分けて整理する(2分類だけでは不十分)
- ウェルシュ菌は生体内毒素型。腸管出血性大腸菌は資料によって「感染型」「生体内毒素型」のどちらにも分類され、分類体系が一つに定まっていない
- 寄生虫・自然毒・化学物質(ヒスタミンなど)による食中毒は、感染型・毒素型の枠組みでは説明せず、原因ごとに個別の予防法を確認する
「食中毒は感染型と毒素型の2種類」という覚え方は、国家試験対策としては不十分です。この2分類だけでは、ウェルシュ菌のように「摂取した菌が腸管内で毒素を作って発症する」タイプ(生体内毒素型)の位置づけが説明できません。この記事は、原因菌・原因食品・潜伏期間・症状・予防法を横断的に比較できる「食中毒分野のハブ記事」です。個々の原因の詳しい機序・予防法は、それぞれの個別記事で確認してください。
食中毒を覚える基本軸
食中毒は、次の2つの軸を分けて整理すると混乱しません。1つ目は「原因物質は何か」(細菌・ウイルス・寄生虫・自然毒・化学物質など)という軸、2つ目は「細菌の場合、症状がどこでどう作られるか」(感染型・食品内毒素型・生体内毒素型)という軸です。この2つを同じ土俵で比較しないことが、混同を防ぐ第一歩です。
食中毒の全体像(原因物質による分類)
| 大分類 | 代表例 | 特徴 |
|---|---|---|
| 細菌性 | カンピロバクター、サルモネラ属菌、腸炎ビブリオ、腸管出血性大腸菌、黄色ブドウ球菌、ウェルシュ菌、セレウス菌、ボツリヌス菌、エルシニアなど | 発生機序(感染型・食品内毒素型・生体内毒素型)で細分類できる |
| ウイルス性 | ノロウイルスなど | 食品中では増殖できず、ヒトの腸管の細胞内でのみ増える |
| 寄生虫 | アニサキス、クドアなど | 感染型・毒素型の枠組みでは分類しない |
| 自然毒 | 動物性:フグ毒(テトロドトキシン)など/植物性:毒キノコ、有毒植物など | 食品そのものが毒をもつ場合。通常の加熱では分解されないものが多い |
| 化学物質 | ヒスタミンなど | 加熱では防げない代表例。温度管理による菌の増殖抑制が予防の中心 |
感染型・食品内毒素型・生体内毒素型
細菌性食中毒は、発生の仕組みによって次の3つに分類されます。この3分類は厚生労働省 薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会食中毒部会の配付資料「食中毒原因物質の分類」(2007年7月13日付)に基づく整理で、行政・教育の場で広く使われていますが、法令上の正式な用語ではありません。
| 分類 | 症状の直接の原因 | 毒素が作られる場所 | 代表例 |
|---|---|---|---|
| 感染型 | 生きた原因菌を摂取し、腸管内で増殖・定着・侵入などして発症 | -(毒素を介さない場合を含む) | サルモネラ属菌、腸炎ビブリオ、カンピロバクター、エルシニア |
| 食品内毒素型 | 食品中で菌が増殖する際に作られた毒素をすでに含む食品を食べる | 食品中(体内に入る前) | 黄色ブドウ球菌、食餌性ボツリヌス症、セレウス菌(嘔吐型) |
| 生体内毒素型 | 摂取した菌が腸管内で増殖し、そこで作られた毒素が作用する | ヒトの腸管内(体内に入った後) | ウェルシュ菌、セレウス菌(下痢型) |
注意:腸管出血性大腸菌の分類は資料によって異なる
腸管出血性大腸菌(O157など)は、厚労省2007年資料では「生体内毒素型」、同審議会2005年10月21日付資料(国立医薬品食品衛生研究所 山本茂貴氏作成の分類表)では「感染型」に分類されています。実際の病態(生きた菌の摂取とベロ毒素の関与)は一つであり、どちらの分類名で呼ぶかという整理の仕方が資料によって異なる、という意味です。

原因菌・原因食品・潜伏期間・症状・予防法の一覧
検索意図の高い「原因菌一覧」「潜伏期間一覧」に応えるため、主な原因を横断比較できる表にまとめます。数値は目安であり、個人差・条件差があります。
細菌性・ウイルス性食中毒
| 原因 | 分類 | 主な原因食品 | 潜伏期間の目安 | 主症状 | 予防の中心 |
|---|---|---|---|---|---|
| カンピロバクター | 感染型 | 生・加熱不十分な鶏肉 | 1〜7日 | 下痢、腹痛、発熱 | 十分な加熱、二次汚染防止 |
| サルモネラ属菌 | 感染型 | 鶏卵、鶏肉、食肉 | 8〜48時間(まれに3〜4日) | 発熱を伴う急性胃腸炎 | 十分な加熱、卵の温度管理 |
| 腸炎ビブリオ | 感染型 | 刺身、寿司等の魚介類 | 12時間前後が目安 | 腹痛、下痢、嘔吐、発熱 | 低温管理、十分な加熱、二次汚染防止 |
| 腸管出血性大腸菌(O157等) | 感染型または生体内毒素型(資料により異なる) | 生・加熱不十分な牛肉等 | 3〜8日 | 腹痛、血便、重症化でHUS | 75℃1分以上の加熱、二次汚染防止 |
| 黄色ブドウ球菌 | 食品内毒素型 | おにぎり、弁当等(手指・傷口から汚染) | 0.5〜6時間(平均3時間) | 悪心・嘔吐(必発)、下痢 | 食品に触れる手指の管理、増殖させない温度管理 |
| ウェルシュ菌 | 生体内毒素型 | カレー、シチュー等の大量調理食品 | 6〜18時間(平均10時間) | 腹痛、下痢 | 小分け・急速冷却、10℃以下または65℃以上で保管 |
| セレウス菌 | 嘔吐型=食品内毒素型/下痢型=生体内毒素型 | 米飯類・麺類(嘔吐型)/肉類・野菜類等(下痢型) | 0.5〜6時間/8〜16時間 | 悪心・嘔吐/腹痛・水様下痢 | 大量調理を避け早めに喫食、55℃以上または8℃以下で保存 |
| 食餌性ボツリヌス症 | 食品内毒素型 | 缶詰、びん詰、真空パック等の密封食品 | 一般に8〜36時間 | 複視、嚥下困難等の神経症状 | 密封食品の適切な温度管理、異常のある容器は食べない |
| エルシニア・エンテロコリチカ | 感染型 | 豚肉等(低温でも増殖) | 数日程度 | 発熱、腹痛、下痢(虫垂炎に似ることも) | 十分な加熱、冷蔵過信をしない |
| ノロウイルス | (ウイルス性のため3分類の対象外) | 汚染された二枚貝、感染した食品取扱者が扱った食品 | 24〜48時間 | 吐き気、嘔吐、下痢、腹痛(発熱は軽度なことが多い) | 十分な加熱、手洗い、次亜塩素酸ナトリウムによる消毒 |
寄生虫・自然毒・化学物質
| 原因 | 分類 | 主な原因食品 | 症状が出るまでの目安 | 主症状 | 予防の中心 |
|---|---|---|---|---|---|
| アニサキス | 寄生虫 | サバ、アジ等の海産魚介類(生食) | 数時間〜十数時間 | 激しいみぞおちの痛み、悪心、嘔吐 | -20℃24時間以上の冷凍、または70℃以上/60℃1分の加熱 |
| クドア(クドア・セプテンプンクタータ) | 寄生虫 | ヒラメの生食(高濃度感染時) | 食後比較的短時間とされる(正確な時間は一次資料で確認できず) | 下痢、おう吐 | 75℃5分以上の加熱、または-15〜-20℃4時間以上/-80℃2時間以上の冷凍 |
| ヒスタミン食中毒 | 化学物質(アレルギー様食中毒) | ヒスチジンの多い赤身魚(サバ、マグロ、イワシ等)とその加工品 | 食後数分〜30分位 | 顔面紅潮(口の周り・耳たぶ)、じんま疹、頭痛 | 菌を「つけない・増やさない」。速やかな冷蔵・冷凍(加熱では分解されない) |
| 自然毒(フグ毒=テトロドトキシン、代表例) | 自然毒(動物性) | フグ(素人調理は厳禁) | 食後30分〜5時間 | しびれ、重症では呼吸困難・死亡例あり | フグ処理師など有資格者による適切な処理。通常の加熱では分解しない |
この表から読み取るべき国試上の要点は、「潜伏期間の長さ」と「毒素が作られる場所」は必ずしも一致しないこと、加熱だけで防げない原因(耐熱性毒素・ヒスタミン・自然毒)が複数あること、原因食品のジャンル(生鮮魚介類/食肉・鶏卵/大量調理食品/密封食品)ごとに注意すべき原因が異なることです。

短時間で発症しやすい食中毒
潜伏期間が数十分〜数時間と短いものは、直前に食べたものと結びつけやすい一方、原因を誤認しやすい面もあります。
- 数分〜30分位:ヒスタミン食中毒(赤身魚とその加工品)
- 0.5〜6時間:黄色ブドウ球菌(食品内で作られた耐熱性エンテロトキシン)、セレウス菌嘔吐型(セレウリド)
- 30分〜5時間:フグ毒(テトロドトキシン)
- 半日前後(12時間前後):腸炎ビブリオ
「潜伏期間が短い=毒素型」と機械的に判断しないでください。フグ毒(自然毒)やヒスタミン(化学物質)のように、細菌の毒素型とは異なる原因でも短時間で発症するものがあります。
潜伏期間が長い食中毒
- 1〜7日:カンピロバクター
- 3〜8日:腸管出血性大腸菌
- 数日程度:エルシニア
- 8〜48時間(1〜2日程度):サルモネラ属菌、ノロウイルス
生体内毒素型(ウェルシュ菌6〜18時間、セレウス菌下痢型8〜16時間)は、菌の増殖と毒素産生に時間がかかるため、食品内毒素型より潜伏期間が長くなる傾向がありますが、感染型ほど長くはならないことが多く、両者の中間に位置づけて理解してください。
芽胞形成菌の比較
芽胞を形成する代表的な細菌性食中毒菌は、ウェルシュ菌・セレウス菌・ボツリヌス菌の3つです。芽胞が死滅する温度・時間の条件は菌ごとに異なり、「芽胞形成菌はすべて同じ耐熱性」ではありません。
| 菌 | 芽胞の耐熱性の目安 | 発症機序 |
|---|---|---|
| ウェルシュ菌 | 耐熱性芽胞は100℃で1〜6時間でも生残するとされる | 生体内毒素型(腸管内で毒素産生) |
| セレウス菌 | 90℃・60分の加熱に抵抗性があるとされる | 嘔吐型=食品内毒素型/下痢型=生体内毒素型 |
| ボツリヌス菌 | 菌群(I〜IV群)によって異なり、一律の数値で語れない | 食餌性=食品内毒素型、乳児ボツリヌス症=腸管内で毒素産生 |
毒素型食中毒の比較
食品内毒素型(毒素型)の中でも、毒素の耐熱性は菌によって大きく異なります。
- 黄色ブドウ球菌:エンテロトキシンは耐熱性が高く、通常の加熱調理では分解されにくい
- セレウス菌(嘔吐型):セレウリドは126℃・90分の加熱でも失活しないとされるほど耐熱性が高い
- ボツリヌス菌:ボツリヌス毒素そのものは易熱性で80℃・30分の加熱で失活するとされる一方、芽胞は非常に高い耐熱性をもつ(毒素と芽胞の耐熱性を分けて覚える)
なお、ヒスタミンは細菌が作る毒素ではなく化学物質ですが、「一度生成されると加熱調理によっても分解されない」という点は耐熱性毒素と共通する注意点です。分類上は食品内毒素型に含めず、化学性食中毒として区別してください。
魚介類と関係する食中毒
魚介類が原因食品となる代表例は、腸炎ビブリオ(刺身・寿司等、好塩性)、ノロウイルス(汚染された二枚貝)、アニサキス(サバ・アジ等の海産魚介類、幼虫が胃壁・腸壁へ刺入)、クドア(ヒラメの生食)、ヒスタミン食中毒(サバ・マグロ・イワシ等の赤身魚)、自然毒(フグ毒)です。「魚介類=腸炎ビブリオ」と単純化せず、生食か加熱かで想定すべき原因が変わる点に注意してください。
肉類・鶏卵と関係する食中毒
肉類・鶏卵が原因食品となる代表例は、カンピロバクター(生・加熱不十分な鶏肉)、サルモネラ属菌(鶏卵、鶏肉、食肉)、腸管出血性大腸菌(生・加熱不十分な牛肉等)、ウェルシュ菌(食肉を使った大量調理の煮込み料理)、エルシニア(豚肉、低温でも増殖)です。黄色ブドウ球菌はおにぎり・弁当など食品全般が原因食品となり、肉類特有ではなく調理者の手指・傷口からの汚染が本質である点で、このグループとは性質が異なります。
国試で間違えやすい組み合わせ
- 「芽胞を作る菌はすべて同じ耐熱性」ではない。ウェルシュ菌・セレウス菌・ボツリヌス菌はいずれも芽胞を形成しますが、条件は菌ごとに異なります。
- 「毒素の耐熱性」と「芽胞の耐熱性」は別の軸。ボツリヌス毒素そのものは比較的熱に弱い一方、芽胞は非常に高い耐熱性をもちます。
- 「冷蔵・冷凍=殺菌」ではない。低温は増殖を抑える管理であり、菌を死滅させる方法ではありません(腸炎ビブリオ・ウェルシュ菌等)。クドアやアニサキスのように、条件を満たした冷凍が有効な例と混同しないよう注意してください。
- 「同じ原因食品=同じ原因菌」ではない。加熱不十分な食肉全般はサルモネラ属菌やウェルシュ菌の原因にもなり得ます。
- 少量感染が成立する菌がある。腸管出血性大腸菌は100個程度の菌数でも感染が成立するとされます。
原因食品から推定する手順
喫食した食品から原因を推定する場合、次の順に確認すると絞り込みやすくなります。
- 生の魚介類・刺身 → 腸炎ビブリオ、アニサキス、クドア(ヒラメ)を想定
- 常温放置した赤身魚 → ヒスタミン食中毒を想定
- フグ → 自然毒(テトロドトキシン)を想定。素人調理の有無を確認
- 生・加熱不十分な鶏肉 → カンピロバクターを想定
- 鶏卵・食肉 → サルモネラ属菌を想定
- 生・加熱不十分な牛肉 → 腸管出血性大腸菌を想定
- 大量調理の煮込み料理(前日調理・室温放置) → ウェルシュ菌を想定
- チャーハン等の米飯類・麺類の室温放置 → セレウス菌(嘔吐型)を想定
- 缶詰・びん詰・真空パック等の密封食品 → ボツリヌス菌を想定
- おにぎり・弁当など調理者が素手で触れた食品 → 黄色ブドウ球菌を想定
- 二枚貝、または感染した調理従事者が扱った食品 → ノロウイルスを想定
症状と潜伏期間から推定する手順
- 食後数分〜30分でじんま疹・顔面紅潮 → ヒスタミン食中毒
- 食後30分〜数時間で嘔吐が中心 → 黄色ブドウ球菌、セレウス菌嘔吐型
- 食後30分〜5時間でしびれ・呼吸困難 → フグ毒などの自然毒(緊急性が高い)
- 半日前後で腹痛・下痢 → 腸炎ビブリオ、ウェルシュ菌
- 1〜2日で吐き気・嘔吐・下痢 → ノロウイルス
- 数日後に発熱を伴う下痢・腹痛 → カンピロバクター、サルモネラ属菌、腸管出血性大腸菌、エルシニア
- 複視・嚥下困難などの神経症状 → ボツリヌス菌(緊急性が高い)
数値は目安であり、個人差・喫食量・体調によって変動します。断定材料にはできません。
予防の基本原則
細菌性食中毒の予防は「つけない・増やさない・やっつける」の3原則が基本ですが、耐熱性毒素・ヒスタミン・自然毒には「やっつける(加熱)」が効かないため、「つけない・増やさない」を徹底することが重要です。

確認問題
以下は本文の理解を確かめるサイト独自問題です。
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問題1:ウェルシュ菌による食中毒の分類として最も適切なものはどれか。
- 感染型
- 食品内毒素型
- 生体内毒素型
- 感染症型食中毒
- 化学性食中毒
正解:3
正解理由:ウェルシュ菌は、摂取された菌が腸管内で増殖し、その際に産生された毒素(エンテロトキシン)が症状の直接の原因となるため、生体内毒素型に分類されます。
誤答理由:1は菌そのものの定着・侵入が主体の場合で該当しない。2は食品中ですでに毒素が作られている場合を指すため誤り。4は感染症法上の扱いを受ける菌が対象で該当しない。5は細菌ではなく化学物質が原因の場合で該当しない。
ひっかけポイント:「毒素型」という言葉だけで食品内毒素型と混同しやすい。毒素が「どこで作られるか」で区別することが重要。
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問題2:黄色ブドウ球菌による食中毒について、正しい記述はどれか。
- 菌自体の耐熱性が高いため、加熱調理をしても食中毒を防げない
- 菌が産生するエンテロトキシンは耐熱性が高く、通常の加熱調理では無毒化されにくい
- 食品中で菌が増殖しなくても、菌が付着していれば必ず発症する
- 症状の直接の原因は菌そのものであり、毒素は関与しない
- 潜伏期間は一般に1〜7日と長い
正解:2
正解理由:黄色ブドウ球菌が食品中で増殖する際に産生するエンテロトキシンは耐熱性が高く、通常の加熱調理条件では分解されにくいとされています。
誤答理由:1は誤り。耐熱性が高いのは菌自体ではなくエンテロトキシンであり、菌自体は通常の加熱で死滅する。3は誤り。食品内である程度菌が増殖し毒素が蓄積して初めて発症する。4は誤り。直接原因は毒素である。5は誤り。潜伏期間は0.5〜6時間程度と短い。
ひっかけポイント:「菌の耐熱性」と「毒素の耐熱性」を混同しやすい。
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問題3:セレウス菌食中毒に関する記述として、誤っているものはどれか。
- 嘔吐型は食品内毒素型に分類される
- 下痢型は生体内毒素型に分類される
- 嘔吐型の毒素(セレウリド)は耐熱性が高い
- セレウス菌は常に嘔吐型としてのみ発症する
- 芽胞を形成するため、加熱調理後の室温放置に注意が必要である
正解:4
正解理由:セレウス菌食中毒には嘔吐型(食品内毒素型)と下痢型(生体内毒素型)の2つのタイプがあり、「常に嘔吐型としてのみ発症する」という記述は誤りです。
他の選択肢が正しい記述である理由:1・2は分類のとおり正しい。3はセレウリドが126℃・90分の加熱でも失活しないとされるため正しい。5は芽胞形成菌の性質として正しい。
ひっかけポイント:セレウス菌を「毒素型の代表例」とだけ覚えると、下痢型(生体内毒素型)の存在を見落としやすい。
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問題4:食中毒の原因と主な原因食品の組み合わせとして、最も適切なものはどれか。
- クドア-牛肉
- ヒスタミン食中毒-ヒラメの生食
- フグ毒-カレー等の大量調理食品
- ボツリヌス菌(食餌性)-鶏卵
- アニサキス-サバ、アジ等の海産魚介類
正解:5
正解理由:アニサキスは、サバ、アジ等の海産魚介類の生食によって感染する寄生虫です。
誤答理由:1はクドアの原因食品はヒラメの生食であり牛肉ではない。2はヒスタミン食中毒の原因食品は赤身魚(サバ、マグロ、イワシ等)であり、ヒラメの生食はクドアの原因食品である。3はフグ毒の原因食品はフグであり、カレー等の大量調理食品はウェルシュ菌の原因食品である。4はボツリヌス菌(食餌性)の原因食品は缶詰・びん詰・真空パック等の密封食品であり、鶏卵はサルモネラ属菌の原因食品である。
ひっかけポイント:寄生虫・自然毒・化学物質の原因食品を、細菌性食中毒の原因食品と入れ替えた選択肢に注意する。
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問題5:食中毒予防の三原則「つけない・増やさない・やっつける」について、最も適切な記述はどれか。
- 黄色ブドウ球菌のような耐熱性毒素をもつ菌には、「やっつける」だけでは対応できない場合がある
- 三原則を守れば、あらゆる食中毒を防ぐことができる
- 「増やさない」は冷蔵・冷凍にのみ関係し、調理後の管理には関係しない
- ウイルス性食中毒には三原則は一切適用できない
- 自然毒・化学物質による食中毒も、三原則で完全に防止できる
正解:1
正解理由:黄色ブドウ球菌のエンテロトキシンやセレウス菌嘔吐型のセレウリドのように耐熱性の高い毒素は、いったん食品中に作られると通常の加熱調理では分解されないため、「つけない・増やさない」による毒素産生自体の防止が重要になります。
誤答理由:2は誤り。耐熱性毒素、自然毒、化学物質など三原則だけでは防げない原因がある。3は誤り。ウェルシュ菌・セレウス菌のように調理後の室温放置も「増やさない」に含まれる。4は誤り。ノロウイルスでも手洗いや二次汚染防止など三原則に準じた対策は有効。5は誤り。フグ毒やヒスタミンは原因食品の除去・温度管理など別の対策が必要。
ひっかけポイント:三原則を「万能の予防策」として断定的に覚えると、耐熱性毒素や自然毒など例外を見落とす。
よくある質問
食中毒は感染型と毒素型だけに分けられますか
いいえ。細菌性食中毒は「感染型」「食品内毒素型」「生体内毒素型」の3つに分けて整理する必要があります。2分類だけでは、ウェルシュ菌のように腸管内で毒素が作られるタイプの位置づけが説明できません。また、寄生虫・自然毒・化学物質(ヒスタミン等)による食中毒は、この枠組み自体の対象外です。
潜伏期間が短い食中毒はどれですか
ヒスタミン食中毒(数分〜30分位)、黄色ブドウ球菌とセレウス菌嘔吐型(0.5〜6時間)、フグ毒(30分〜5時間)が代表例です。ただし潜伏期間の短さだけで原因を断定することはできません。
加熱しても防げない食中毒はありますか
あります。黄色ブドウ球菌のエンテロトキシン、セレウス菌嘔吐型のセレウリドは耐熱性が高く通常の加熱で分解されません。ヒスタミンも一度生成されると加熱で分解されず、フグ毒(テトロドトキシン)も通常の加熱では分解しないとされています。
芽胞を形成する食中毒菌はどれですか
ウェルシュ菌、セレウス菌、ボツリヌス菌の3つが代表的です。芽胞は熱に強い構造ですが、死滅する温度・時間の条件は菌ごとに異なり、「芽胞形成菌はすべて同じ耐熱性」ではありません。
原因食品と原因菌はどう覚えればよいですか
「生の魚介類なら腸炎ビブリオやアニサキス」「鶏肉ならカンピロバクター」「大量調理の煮込み料理ならウェルシュ菌」のように、食品のジャンルと原因を対にして覚えると整理しやすくなります。ただし、同じ原因食品でも複数の原因が考えられるため、食品だけで一つに断定しないことが重要です。
要点まとめ
今日の振り返り
- 細菌性食中毒は「感染型」「食品内毒素型」「生体内毒素型」の3分類で整理する
- 寄生虫(アニサキス、クドア)・自然毒(フグ毒等)・化学物質(ヒスタミン)は3分類の対象外で、それぞれ個別の予防法がある
- 原因食品のジャンル(魚介類/肉類・鶏卵/大量調理食品/密封食品)ごとに注意すべき原因が異なる
- 耐熱性毒素・自然毒・化学物質には「加熱すれば安全」が通用しない
個別の原因菌の詳しい症状・予防法は、上の一覧表からリンクしている各記事で確認してください。
関連記事
- 食中毒の感染型と毒素型の違い・覚え方
- 食中毒の潜伏期間一覧と原因別の覚え方
- カンピロバクター食中毒
- サルモネラ食中毒
- ノロウイルス食中毒
- 腸管出血性大腸菌(O157)食中毒
- ウェルシュ菌食中毒
- 腸炎ビブリオ食中毒
- ボツリヌス菌食中毒
- エルシニア食中毒
- アニサキス・横川吸虫
- 第40回過去問・要点解説
参考文献・出典
- 厚生労働省 薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会食中毒部会 配付資料「食中毒原因物質の分類」(2007年7月13日付) — 感染型・食品内毒素型・生体内毒素型の分類定義の根拠
- 厚生労働省 薬事・食品衛生審議会 配付資料(2005年10月21日付) — 腸管出血性大腸菌を感染型に分類する別の整理例の根拠
- 厚生労働省「腸管出血性大腸菌Q&A」 — 潜伏期間3〜8日、加熱条件等の根拠
- 食品安全委員会ファクトシート「ブドウ球菌食中毒」 — 潜伏期間、エンテロトキシンの耐熱性の根拠
- 食品安全委員会ファクトシート「セレウス菌食中毒」 — 嘔吐型・下痢型の分類、潜伏期間、毒素の耐熱性の根拠
- 食品安全委員会「ボツリヌス症」ファクトシート — 病型分類、毒素・芽胞の耐熱性の根拠
- 食品安全委員会ファクトシート「ヒスタミン(概要)」(最終更新:令和3年3月30日) — 原因食品、潜伏期間、症状、加熱で分解されないことの根拠
- 食品安全委員会「ハザード概要シート(案)(フグ毒)」 — テトロドトキシンの症状進行、予防法、加熱で分解しないことの根拠
- 食品安全委員会「寄生虫による食中毒にご注意ください」 — クドア・セプテンプンクタータの原因食品、症状、加熱・冷凍条件の根拠
- 当サイト内の既存記事(カンピロバクター、サルモネラ、腸炎ビブリオ、ノロウイルス、アニサキス、エルシニア各記事) — 各記事で確認済みの一次資料に基づく数値を再掲
- e-Gov法令検索「食品衛生法」第63条 — 食中毒患者等の届出義務の根拠
最終確認日:2026年9月20日


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