【管理栄養士国試】肝臓の構造と機能|肝小葉・門脈・胆汁の流れ

肝臓の構造と機能(肝小葉・門脈・肝静脈・胆汁の流れ)を扱う記事のアイキャッチ 人体の構造と機能

肝臓は「代謝の中心臓器」とだけ覚えても、国試の正誤問題には対応できません。肝臓には、代謝・合成の大半を担う肝細胞、貪食を担うクッパー細胞、線維化に関わる肝星細胞など役割の異なる細胞が同居し、しかも血液と胆汁がほぼ逆方向に流れるという独特の構造を持っています。この記事では、細胞・組織・器官・器官系の階層、胃酸分泌の仕組み、小腸での消化・吸収、膵臓の構造とホルモン・酵素の関係を踏まえ、糖質・脂質・タンパク質代謝の詳細には立ち入らず、肝臓そのものの構造・血流・胆汁の流れに焦点を絞って整理します。

  • 肝臓は肝動脈(酸素)と肝門脈(栄養素)という2種類の血液を受け取り、肝静脈から下大静脈へ戻す
  • 肝小葉の中では、血液は門脈域から中心静脈へ、胆汁は肝細胞から門脈域へと、ほぼ逆方向に流れる
  • クッパー細胞(貪食)と肝星細胞(ビタミンA貯蔵・線維化への関与)は、どちらも肝臓の細胞だが役割も存在場所も異なる

この記事で理解できること

  • 肝臓の位置・肉眼的構造と、解剖学的な葉区分・機能的区分の違い
  • 肝動脈・肝門脈・肝静脈の血流経路と、血液と胆汁が逆方向に流れること
  • 肝小葉・門脈域の構造と、肝細胞・類洞内皮細胞・クッパー細胞・肝星細胞・胆管上皮細胞の役割
  • 胆汁が生成されてから十二指腸に至る経路と、胆汁酸・CCK・セクレチンの関わり

肝臓の位置と肉眼的構造

肝臓は、横隔膜のすぐ下、主に右上腹部に位置する、人体最大の実質臓器です。解剖学的には、前面を走る肝鎌状間膜によって右葉と左葉に大きく分けられ、肝鎌状間膜の遊離縁(下端)には、胎児期の臍静脈の遺残である肝円索が含まれます。右葉の下面(臓側面)には、さらに小さな方形葉と尾状葉が区別されます。

肝臓の下面には肝門と呼ばれる部分があり、肝門脈・固有肝動脈・総肝管(およびリンパ管・神経)が出入りします。肝臓の後面には下大静脈が接する溝があり、そこへ肝静脈が直接注ぎ込みます。胆のうは肝臓の臓側面、右葉と方形葉の間の浅いくぼみ(胆のう窩)に収まっています。

これとは別に、手術などで用いられる機能的区分(クイノー分類)という考え方があります。これは門脈・肝動脈・胆管の枝分かれと肝静脈の還流域を基準に肝臓を8つの区域に分ける方法で、見た目の葉の境界とは一致しません。たとえば方形葉は解剖学的には右葉の一部として扱われることが多いのに対し、機能的区分では左葉側(区域IV)に含まれ、尾状葉(区域I)は独自の血流を持つため機能的な右葉・左葉のどちらか一方に単純に割り振れない、という点が国試でも間違えやすいポイントです。8区域それぞれの詳細な暗記は本記事の範囲を超えるため、ここでは名称と考え方の紹介にとどめます。

肝臓へ入る血管・出る血管

肝臓は、性質の異なる2種類の血液を受け取るという特徴があります。固有肝動脈は全身循環から酸素に富む血液を運びます。肝門脈は、胃・小腸・大腸・脾臓・膵臓などから吸収された栄養素を多く含む血液を運びます。肝臓へ流入する血流量でみると、肝門脈がおよそ70〜80%、固有肝動脈がおよそ20〜30%を占めるとされますが、示される割合には資料によって多少の幅があります。この割合はあくまで血流量の割合であり、酸素供給量の割合をそのまま示すものではありません。門脈血は動脈血に比べて酸素飽和度は低いものの、酸素をまったく含まない血液ではなく、肝臓への酸素供給にも一定程度寄与しています。門脈枝と肝動脈枝から来た血液は、類洞で混ざり合います。「肝門脈は静脈だから栄養素は少ない」「肝臓に血液を送るのは肝動脈だけ」「肝門脈血は肝臓の酸素供給に全く寄与しない」という理解は誤りで、両方の血管がそれぞれ異なる役割を持って肝臓へ血液を送り込んでいます。

大腸で腸内細菌が食物繊維などを発酵させて作る短鎖脂肪酸のうち、プロピオン酸なども門脈を経て肝臓へ運ばれます。大腸の構造・腸内細菌と短鎖脂肪酸の働きについては、大腸の構造・腸内細菌と短鎖脂肪酸の働きを確認するで扱っています。

肝臓から出ていく血液は肝静脈が担い、下大静脈へ戻します。肝臓内の血流は、原則として次の順序で流れます。

肝動脈・肝門脈 → 小葉間動脈・小葉間静脈 → 類洞 → 中心静脈 → 小葉下静脈 → 肝静脈 → 下大静脈

肝小葉と門脈域

肝臓の組織構造を理解するうえで基本となるのが、古典的な肝小葉という単位です。肝小葉は六角形に近い形をしており、中心には中心静脈が1本通り、六角形の頂点にあたる部分には門脈域(門脈三つ組とも呼ばれます)が位置します。肝細胞は肝細胞索という1〜2細胞ほどの厚さの板状の列を作り、中心静脈から放射状に並んでいます。肝細胞索とその間を、類洞という特殊な毛細血管が通っています。

門脈域には、基本的に小葉間静脈(門脈の枝)・小葉間動脈(肝動脈の枝)・小葉間胆管という3種類の管が集まっています。「門脈三つ組」という呼び方が定着していますが、実際にはこれに加えてリンパ管や神経も門脈域に存在することがあり、必ずしも「3本の管しか存在しない」という意味ではないことに注意してください。

血液と胆汁の流れる方向

この記事で最も押さえてほしいのが、血液と胆汁がほぼ反対方向に流れるという点です。

流れるもの 経路
血液 門脈域側(小葉間動脈・小葉間静脈)→ 類洞 → 中心静脈
胆汁 肝細胞 → 毛細胆管 → 門脈域側(小葉間胆管)

血液は門脈域から中心静脈に向かって類洞を流れるのに対し、胆汁は肝細胞で作られたあと、逆に中心付近から門脈域へ向かって流れていきます。ここで注意したいのが毛細胆管の扱いです。毛細胆管は血管の一種ではなく、隣接する肝細胞の細胞膜どうしの間に形成される、胆汁専用の通路です。血液が流れる類洞とは全く別の構造であり、「毛細胆管も血管の仲間である」という誤解をしないようにしてください。

肝小葉の構造と、血液が門脈域から中心静脈へ、胆汁が肝細胞から門脈域へとほぼ逆方向に流れる関係を示す図
肝小葉内で血液(門脈域の小葉間動脈・小葉間静脈→類洞→中心静脈)と胆汁(肝細胞→毛細胆管→門脈域の小葉間胆管)がほぼ逆方向に流れる関係を示す図解。栄養国試.com作成(参考:OpenStax, Anatomy and Physiology 2e, 23.6/StatPearls, Anatomy, Abdomen and Pelvis: Liver)

肝臓を構成する主要細胞

肝臓は肝細胞だけでできているわけではなく、役割の異なる複数の細胞が組み合わさって機能しています。

細胞 存在場所 主な機能 関係する物質 国試で間違えやすい点
肝細胞 肝細胞索(肝小葉の大部分を占める) 代謝・合成・分解・胆汁生成など肝臓の機能の大部分を担う実質細胞 アルブミン、凝固因子、胆汁酸、グリコーゲンなど 肝臓の機能の中心だが、免疫や線維化に関わる働きは別の細胞が担う
類洞内皮細胞 類洞の内側を覆う 有窓性(小さな孔が開いている)構造を持ち、通常の連続型毛細血管と異なり基底膜も不完全で、物質交換の場となる 血漿中の様々な物質 クッパー細胞と混同しやすいが、両者は別の細胞である
クッパー細胞 類洞の中(内皮に付着・内在) 類洞内に常在するマクロファージとして、細菌や老化した赤血球、異物を貪食する 細菌、老廃物、老化赤血球 類洞内皮細胞と同一視しないこと
肝星細胞(伊東細胞) ディッセ腔(類洞内皮と肝細胞の間) 通常時はビタミンA(レチノイド)を貯蔵。肝障害時には活性化して筋線維芽細胞様の性質を持ち、細胞外基質・コラーゲンを産生する ビタミンA、コラーゲンなどの細胞外基質 活性化すると肝線維化に関与するという点が、国試・臨床双方で重要視される
胆管上皮細胞 胆管の内側 セクレチンの刺激を受けて重炭酸イオンに富む水分を分泌し、肝細胞が作った胆汁を修飾する 重炭酸イオン 膵管細胞と似た働きだが、存在する場所(胆管)が異なる
類洞を取り囲む肝細胞・類洞内皮細胞・クッパー細胞・肝星細胞(伊東細胞)とディッセ腔の位置関係を示す図
類洞を取り囲む肝細胞・類洞内皮細胞・クッパー細胞(類洞内)・肝星細胞(伊東細胞、ディッセ腔内)の位置関係を示す図解。栄養国試.com作成(参考:Woltman AM, et al. “Kupffer Cells in Health and Disease”/Kamm DR, McCommis KS. “Hepatic Stellate Cells in Physiology and Pathology”)

胆汁の経路

胆汁の経路は、胆のうを必ず経由する一本道ではなく、肝臓内の合流経路と、食事のタイミングによって向きが変わる経路に分けて理解する必要があります。

肝臓内(合流していく経路):
肝細胞 → 毛細胆管 → 細胆管・ヘリング管 → 小葉間胆管 → 右肝管・左肝管 → 総肝管

食間(胆のうへ貯蔵):
総肝管側 → 胆のう管 → 胆のうで貯蔵・濃縮

食後(胆のうから十二指腸へ):
胆のう → 胆のう管 → 総胆管 → 肝膵膨大部 → 大十二指腸乳頭 → 十二指腸

ここで注意したいのが胆のう管の役割です。胆のう管は一方向にしか胆汁を流さない管ではなく、食間は総肝管側から胆のうへ向かう流路、食後は胆のうから総胆管へ戻る流路として、同じ管が状況に応じて逆向きの流れを担います。また、肝臓から出てきた胆汁のすべてが胆のうを経由するわけではありません。食間であっても、一部の胆汁は胆のうへ向かわず、総肝管・総胆管を通って直接十二指腸側へ流れ続けています。食後は、CCKの作用で胆のうが収縮し、オッディ括約筋が弛緩することで、胆のうに蓄えられていた濃縮胆汁が総胆管を通って一気に十二指腸へ送り出されます。このように、胆汁の流れは食事のタイミングによって配分が変化する動的な仕組みだと理解してください。

ここでも混同しやすいのが胆汁と膵液の分泌元です。胆汁は肝臓で作られ胆のうで濃縮・貯蔵される消化液、膵液は膵臓そのもので作られる消化液であり、両者は別々の管(総胆管・主膵管)を通って、多くの場合、十二指腸に入る直前で合流します。

肝臓へ出入りする固有肝動脈・肝門脈・肝静脈と、肝臓で作られた胆汁が食間は胆のうへ、食後は胆のうから十二指腸へと状況に応じて流れる経路を示す図
肝臓へ出入りする固有肝動脈・肝門脈・肝静脈の血流量比率(肝門脈約70〜80%・固有肝動脈約20〜30%、血流量の割合であり酸素供給量の割合ではない)と、胆汁が食間は胆のうへ、食後は胆のうから十二指腸へと状況に応じて流れる経路を示す図解。栄養国試.com作成(参考:StatPearls, Anatomy, Abdomen and Pelvis: Liver/StatPearls, Portal Venous System/StatPearls, Physiology, Biliary/StatPearls, Physiology, Bile Secretion)

胆汁の成分と働き

胆汁の主な成分は、胆汁酸・胆汁酸塩、リン脂質(主にレシチン)、コレステロール、ビリルビン(抱合型、胆汁の色のもと)、水・電解質です。胆管上皮細胞が加える分泌液は重炭酸イオンに富んでいます。

膵液とは異なり、胆汁には原則として消化酵素は含まれていません。胆汁酸は、脂肪の粒を小さくする乳化と、消化産物を取り込みやすい形にまとめるミセル形成を助けることで脂質の消化・吸収を支えていますが、これは物理的な作用であり、「胆汁酸が脂質を酵素的に分解する」という理解は誤りです。脂質の加水分解そのものは、主に膵リパーゼなどの酵素が担います。

役目を終えた胆汁酸の多くは、回腸末端で能動的に再吸収され、門脈を通って肝臓へ戻り、再び胆汁として分泌されます。この循環は腸肝循環と呼ばれ、胆汁酸の大部分(目安として9割以上)がこの経路で繰り返し再利用されています。

関係する酵素・ホルモン・輸送体

肝臓・胆汁の働きには、複数のホルモン・酵素・輸送体が関わっています。まず基本として押さえるべきなのは次の2つのホルモンです。

  • CCK: 脂肪酸・アミノ酸などを刺激として十二指腸・空腸のI細胞から分泌され、胆のうを収縮させ、オッディ括約筋を弛緩させることで、濃縮された胆汁を十二指腸へ送り出します
  • セクレチン: 酸性の内容物を刺激としてS細胞から分泌され、膵管細胞だけでなく胆管上皮細胞にも作用し、重炭酸イオンに富む分泌液を促します

インスリン・グルカゴンも肝臓の糖代謝の調節に深く関わりますが、その詳しい機構は将来の代謝専門の記事で扱います。

ここから先は、国試の中心的な暗記事項というよりも、理解を深めるための発展的な内容です。HMG-CoA還元酵素は肝細胞の小胞体でコレステロール合成の律速酵素として働き、CYP7A1(コレステロール7α-水酸化酵素)は同じく肝細胞の小胞体で、コレステロールから胆汁酸を作る反応の律速酵素として働きます。UDP-グルクロン酸転移酵素は、ビリルビンや多くの薬物にグルクロン酸を結合させる(抱合する)酵素で、肝細胞の小胞体に存在します。Na⁺/K⁺-ATPaseは肝細胞の血液側(基底膜側・類洞側)の細胞膜に存在し、様々な物質輸送を支えるイオン濃度勾配を作り出しています。輸送体としては、NTCPが肝細胞の血液側の膜で門脈血中の胆汁酸を取り込み、BSEPが肝細胞の毛細胆管側の膜で胆汁酸を胆汁中へ送り出す、胆汁酸分泌の重要な段階を担っています。また、アルブミンや凝固因子の多く(ただし第Ⅷ因子など一部は血管内皮細胞由来であり、「すべての凝固因子」ではない点に注意)は肝細胞で合成されます。

肝臓の主要機能

肝臓は多くの機能を持つ臓器ですが、それぞれの機能は特定の細胞・物質と結びついています。糖代謝では、肝細胞がグリコーゲンとして糖を貯蔵し、必要に応じてグリコーゲン分解・糖新生によって血糖を維持します。脂質代謝では、肝細胞がコレステロールやリポタンパク質を合成します。アミノ酸・タンパク質代謝では、肝細胞がアミノ酸を脱アミノし、生じたアンモニアを毒性の低い尿素へ変換します。肝細胞は同時にアルブミンや凝固因子などの血漿タンパク質も合成しています。胆汁生成とビリルビン処理(抱合・排泄)も肝細胞の役割です。薬物・異物代謝では、シトクロムP450などの酵素群が肝細胞の小胞体で働きます。肝臓はビタミン・鉄の貯蔵庫としても機能し、免疫・異物除去の面では、類洞内のクッパー細胞が腸管由来の細菌や異物を貪食する役割を担っています。これらの代謝経路の詳細(解糖系・糖新生・尿素回路の全反応・コレステロール代謝・薬物代謝の詳細など)は、今後の個別記事で扱います。

国試で間違えやすい組合せ

組合せ 整理のポイント
肝動脈/肝門脈/肝静脈 肝動脈=酸素供給、肝門脈=栄養素を含む血液の供給(血流量の約70〜80%。ただし血流量の割合であり酸素供給の割合ではない)、肝静脈=肝臓から出ていく血液
中心静脈/門脈域 肝小葉の中心と頂点。血液は門脈域→中心静脈、胆汁は逆方向
クッパー細胞/肝星細胞 クッパー細胞=類洞内のマクロファージ、肝星細胞=ディッセ腔でビタミンA貯蔵・線維化に関与
類洞/毛細胆管 類洞=血液が流れる特殊な毛細血管、毛細胆管=肝細胞間にできる胆汁の通路(血管ではない)
血流/胆汁流 肝小葉内でほぼ逆方向に流れる
胆汁/膵液 胆汁=肝臓産生・胆のう貯蔵、膵液=膵臓産生。分泌元を混同しない
胆汁酸による乳化/膵リパーゼによる加水分解 胆汁酸は物理的な乳化・ミセル形成、膵リパーゼは酵素による分解。胆汁は消化酵素を含まない
CCK/セクレチン CCK=胆のう収縮・オッディ括約筋弛緩、セクレチン=胆管上皮細胞・膵管細胞の重炭酸イオン分泌
総肝管/胆のう管/総胆管 総肝管(左右肝管の合流)+胆のう管→総胆管、という接続順序を入れ替えない。胆のう管は食間は胆のうへ向かう流路、食後は胆のうから総胆管へ戻る流路になる

確認問題

問1

肝臓の血管に関する記述のうち、最も適切なものはどれか。1つ選べ。

  1. 肝門脈を流れる血液には、酸素がまったく含まれていない。
  2. 肝臓に血液を送る血管は固有肝動脈のみであり、肝門脈は血液を送らない。
  3. 固有肝動脈は酸素に富む血液を、肝門脈は消化管などから吸収された栄養素を多く含む血液を、それぞれ肝臓へ運ぶ。
  4. 肝静脈は、肝臓へ血液を運び入れる血管である。
  5. 肝門脈を流れる血液量は、固有肝動脈を流れる血液量よりも少ない。
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正解: ③ 固有肝動脈は酸素に富む血液を、肝門脈は消化管などから吸収された栄養素を多く含む血液を、それぞれ肝臓へ運ぶ。

正解の理由: 固有肝動脈は酸素に富む血液を、肝門脈は消化管・脾臓・膵臓などから吸収された栄養素を多く含む血液を、それぞれ肝臓へ運び入れるという記述が正しい理解です。

誤答が誤りである理由:

  • ① 肝門脈を流れる血液は動脈血より酸素飽和度は低いものの、酸素を含まないわけではありません。
  • ② 肝臓には固有肝動脈と肝門脈という2種類の血管が血液を運び入れており、肝門脈も重要な供給源です。
  • ③ 正解。
  • ④ 肝静脈は、肝臓で処理された血液を下大静脈へ運び出す血管であり、肝臓へ血液を運び入れる血管ではありません。
  • ⑤ 肝門脈を流れる血液量は、固有肝動脈よりも多く、肝臓へ流入する血流量全体のおよそ70〜80%を占めるとされています(この割合は血流量であり、酸素供給量の割合ではありません)。

ひっかけのポイント: 肝動脈・肝門脈・肝静脈の役割(入る血管か出る血管か、酸素供給か栄養供給か)を入れ替える、または肝門脈血を「無酸素」と誇張するひっかけです。

問2

肝小葉における血液と胆汁の流れに関する記述のうち、最も適切なものはどれか。1つ選べ。

  1. 血液は中心静脈から門脈域へ、胆汁も同じく中心静脈から門脈域へ流れる。
  2. 血液は門脈域から類洞を通って中心静脈へ、胆汁は肝細胞から毛細胆管を通って門脈域へ、ほぼ逆方向に流れる。
  3. 毛細胆管は類洞と同じ血管の一種であり、血液と胆汁の両方が流れる。
  4. 胆汁は中心静脈から直接、十二指腸へ分泌される。
  5. 血液と胆汁は、肝小葉の中で常に同じ方向に流れる。
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正解: ② 血液は門脈域から類洞を通って中心静脈へ、胆汁は肝細胞から毛細胆管を通って門脈域へ、ほぼ逆方向に流れる。

正解の理由: 血液は門脈域側から類洞を通って中心静脈へ向かい、胆汁は肝細胞から毛細胆管を通って門脈域側の小葉間胆管へ向かうという、ほぼ逆方向の流れが正しい理解です。

誤答が誤りである理由:

  • ① 血液は門脈域から中心静脈へ流れますが、胆汁は逆に肝細胞(中心側)から門脈域へ向かって流れます。
  • ② 正解。
  • ③ 毛細胆管は血管ではなく、隣接する肝細胞の細胞膜の間に形成される胆汁専用の通路です。
  • ④ 胆汁は毛細胆管・小葉間胆管などを経て門脈域側へ流れ出たのち、複数の胆管を経由して十二指腸へ達します。中心静脈から直接分泌されるわけではありません。
  • ⑤ 血液と胆汁は、肝小葉の中でほぼ逆方向に流れます。

ひっかけのポイント: 血液と胆汁の流れる向きを入れ替える、または毛細胆管を血管の一種として扱うひっかけです。

問3

クッパー細胞と肝星細胞に関する記述のうち、最も適切なものはどれか。1つ選べ。

  1. クッパー細胞はディッセ腔に存在し、ビタミンAを貯蔵する。
  2. 肝星細胞は類洞の中に存在する常在性のマクロファージである。
  3. クッパー細胞は類洞内に存在する常在性のマクロファージで、肝星細胞はディッセ腔でビタミンAを貯蔵する細胞である。
  4. 肝星細胞は活性化しても、細胞外基質やコラーゲンの産生には関与しない。
  5. クッパー細胞と肝星細胞は、同一の細胞に対する異なる呼び方である。
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正解: ③ クッパー細胞は類洞内に存在する常在性のマクロファージで、肝星細胞はディッセ腔でビタミンAを貯蔵する細胞である。

正解の理由: クッパー細胞は類洞内に存在する常在性のマクロファージとして貪食を担い、肝星細胞はディッセ腔でビタミンAを貯蔵し、肝障害時には活性化して細胞外基質・コラーゲンの産生に関わるという記述が正しい理解です。

誤答が誤りである理由:

  • ① ディッセ腔でビタミンAを貯蔵するのは肝星細胞であり、クッパー細胞ではありません。
  • ② 類洞内の常在性マクロファージはクッパー細胞であり、肝星細胞ではありません。
  • ③ 正解。
  • ④ 肝星細胞は肝障害時に活性化すると筋線維芽細胞様の性質を持ち、細胞外基質・コラーゲンを産生して肝線維化に関与します。
  • ⑤ クッパー細胞と肝星細胞は、存在場所(類洞内とディッセ腔)も機能も異なる別々の細胞です。

ひっかけのポイント: クッパー細胞と肝星細胞の存在場所・機能を入れ替える、または両者を同一視するひっかけです。

問4

胆汁の経路と胆のうの役割に関する記述のうち、最も適切なものはどれか。1つ選べ。

  1. 胆汁は常にすべて胆のうを経由してから十二指腸へ送られ、胆のうを経由しない経路は存在しない。
  2. 食後は、CCKの作用で胆のうが収縮し、オッディ括約筋が弛緩することで、濃縮された胆汁が十二指腸へ送り出される。
  3. 胆汁は膵臓で作られ、胆のうで濃縮・貯蔵されたのち十二指腸へ分泌される。
  4. 総胆管は、胆のう管と主膵管が合流してできる管である。
  5. 食間は、胆汁がすべて直接十二指腸へ流れ、胆のうへは全く流入しない。
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正解: ② 食後は、CCKの作用で胆のうが収縮し、オッディ括約筋が弛緩することで、濃縮された胆汁が十二指腸へ送り出される。

正解の理由: 食後はCCKの作用で胆のうが収縮し、オッディ括約筋が弛緩することで、胆のうに蓄えられていた濃縮胆汁が総胆管を通って十二指腸へ送り出されるという記述が正しい理解です。

誤答が誤りである理由:

  • ① 食間であっても胆汁の一部は胆のうを経由せず直接十二指腸側へ流れ続けており、すべてが胆のうを経由するわけではありません。
  • ② 正解。
  • ③ 胆汁は膵臓ではなく肝臓で作られ、胆のうで濃縮・貯蔵されます。膵臓で作られるのは膵液です。
  • ④ 総胆管は、左右の肝管が合流した総肝管と胆のう管が合流してできる管です。主膵管は総胆管とは別の管で、肝膵膨大部で合流します。
  • ⑤ 食間は胆汁の大部分が胆のうへ流れ込み貯蔵・濃縮されますが、一部は直接十二指腸側へも流れており、「すべて直接十二指腸へ」という記述は誤りです。

ひっかけのポイント: 胆汁が常に胆のうを経由すると断定する、胆汁と膵液の産生元を入れ替える、総胆管の成り立ちを取り違えるひっかけです。

問5

胆汁酸・CCK・セクレチンに関する記述のうち、最も適切なものはどれか。1つ選べ。

  1. 胆汁酸は消化酵素として、脂質を加水分解する。
  2. セクレチンは膵管細胞のみに作用し、胆管上皮細胞には作用しない。
  3. CCKは、胆のうを収縮させると同時にオッディ括約筋を収縮させる。
  4. 胆汁酸の多くは回腸末端で再吸収され、門脈を通って肝臓へ戻る(腸肝循環)。
  5. 胆汁酸は、脂肪の乳化やミセル形成には関与しない。
答えと解説を見る

正解: ④ 胆汁酸の多くは回腸末端で再吸収され、門脈を通って肝臓へ戻る(腸肝循環)。

正解の理由: 胆汁酸の多くは回腸末端で能動的に再吸収され、門脈を通って肝臓へ戻り、再び胆汁として分泌されるという腸肝循環が正しい理解です。

誤答が誤りである理由:

  • ① 胆汁酸は消化酵素ではなく、脂質を乳化しミセル形成を助ける物理的な作用を持ちます。
  • ② セクレチンは膵管細胞だけでなく胆管上皮細胞にも作用し、重炭酸イオンに富む分泌を促します。
  • ③ CCKは胆のうを収縮させると同時に、オッディ括約筋は弛緩させます。収縮ではありません。
  • ④ 正解。
  • ⑤ 胆汁酸は脂肪の乳化とミセル形成を助けることで、脂質の消化・吸収を支えています。

ひっかけのポイント: 胆汁酸を消化酵素として扱う、セクレチンの作用対象を膵臓だけに限定する、CCKによるオッディ括約筋の反応(弛緩か収縮か)を入れ替えるひっかけです。

要点まとめ

  • 肝臓は横隔膜直下・右上腹部に位置し、解剖学的な葉区分(右葉・左葉・方形葉・尾状葉)と、門脈・肝動脈・胆管の分布に基づく機能的区分(クイノー分類)は一致しない
  • 固有肝動脈(酸素)と肝門脈(栄養素)という2種類の血液を受け取り、肝静脈から下大静脈へ戻す。肝小葉内では血液は門脈域から中心静脈へ、胆汁は肝細胞から門脈域へと、ほぼ逆方向に流れる
  • 肝細胞・類洞内皮細胞・クッパー細胞・肝星細胞・胆管上皮細胞はそれぞれ存在場所と役割が異なり、特にクッパー細胞(貪食)と肝星細胞(ビタミンA貯蔵・線維化)の違いは国試で問われやすい
  • 胆汁は肝細胞から毛細胆管・複数の胆管を経て十二指腸へ運ばれ、食間は主に胆のうへ、食後はCCKの作用で胆のうから十二指腸へ送られる。胆汁酸は消化酵素ではなく乳化・ミセル形成によって脂質吸収を助け、回腸末端で再吸収されて肝臓へ戻る(腸肝循環)
  • 糖質・脂質・タンパク質代謝の詳細、尿素回路の全反応、薬物代謝の詳細、肝疾患・胆石などについては、今後の個別記事で扱う

参考文献・出典

  • 厚生労働省「管理栄養士国家試験出題基準(ガイドライン)改定検討会報告書」大項目10「消化器系」A「消化器系の構造と機能」b「肝臓・胆嚢・膵臓の構造と機能」. https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/001033064.pdf (肝臓の構造と機能が出題範囲に含まれることの根拠として使用。細胞配置・血流経路・胆汁経路そのものの直接的な根拠としては使用していない)
  • StatPearls [Internet]. “Anatomy, Abdomen and Pelvis: Liver.” Treasure Island (FL): StatPearls Publishing. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/books/NBK500014/ (肝臓の位置と肉眼的構造、肝門、肝動脈・門脈・胆管の関係、門脈と肝動脈による二重血液供給、肝血流量に占める門脈・肝動脈の割合(門脈約75〜80%・肝動脈約20〜25%、血流量の割合であり酸素供給量の割合ではない)、門脈枝と肝動脈枝の血液が類洞で混合すること、胆汁が血液とおおむね反対方向へ流れること、肝静脈から下大静脈への排出の根拠として使用。利用者が別環境で本文を直接確認済み)
  • StatPearls [Internet]. “Anatomy, Abdomen and Pelvis, Portal Venous System.” Treasure Island (FL): StatPearls Publishing. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/books/NBK554589/ (門脈が消化管・脾臓・膵臓などから血液を集め栄養素を多く含む血液を肝臓へ運ぶこと、門脈枝が肝類洞へつながり類洞で肝動脈血と混合すること、類洞→中心静脈→肝静脈→下大静脈という流れの根拠として使用。「門脈は静脈だから栄養素が少ない」「門脈血は酸素供給に寄与しない」という誤解の否定にも使用。利用者が別環境で本文を直接確認済み)
  • OpenStax. “Anatomy and Physiology 2e,” 23.6 Accessory Organs in Digestion: The Liver, Pancreas, and Gallbladder. https://openstax.org/books/anatomy-and-physiology-2e/pages/23-6-accessory-organs-in-digestion-the-liver-pancreas-and-gallbladder (肝細胞と肝細胞索、類洞、中心静脈、門脈域の基本構成(門脈枝・肝動脈枝・胆管、ただしリンパ管・神経も存在しうるため「必ず3本」とは限定しない)、クッパー細胞の食作用、毛細胆管、血液と胆汁がおおむね反対方向へ流れること、胆汁の主要成分、胆汁酸による脂質の乳化、腸肝循環、胆のうによる胆汁の貯蔵・濃縮の根拠として使用。利用者が別環境で本文を直接確認済み)
  • Woltman AM, et al. “Kupffer Cells in Health and Disease.” https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC7121975/ (クッパー細胞が肝類洞内に存在する肝臓のマクロファージであり、血中の異物・細菌・老廃物などの除去に関係すること、肝星細胞とは位置も役割も異なることの根拠として使用。クッパー細胞の位置についてはこの資料の記述を優先し、ディッセ腔内の細胞として描写していない。利用者が別環境で本文を直接確認済み)
  • Kamm DR, McCommis KS. “Hepatic Stellate Cells in Physiology and Pathology.” https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC9012702/ (肝星細胞が類洞内皮細胞と肝細胞の間にあるディッセ腔に位置すること、正常時はレチノイド・ビタミンAを含む脂肪滴を貯蔵すること、肝障害時に活性化して筋線維芽細胞様となりコラーゲンを含む細胞外基質の産生を増やし肝線維化に関係することの根拠として使用。「正常時から大量のコラーゲインを産生している」という単純化は避けている。利用者が別環境で本文を直接確認済み)
  • StatPearls [Internet]. “Physiology, Biliary.” Treasure Island (FL): StatPearls Publishing. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/books/NBK537107/ (右肝管と左肝管が総肝管へつながること、総肝管と胆のう管が合流して総胆管となること、胆のうが胆汁を貯蔵・濃縮すること、総胆管を通じて十二指腸へ胆汁が流れることの根拠として使用。胆のう管が食間・食後で向きの変わる流路であり、胆汁経路が胆のうを必ず経由する一方向の直列経路ではないことを踏まえた記述とした。利用者が別環境で本文を直接確認済み)
  • StatPearls [Internet]. “Physiology, Bile Secretion.” Treasure Island (FL): StatPearls Publishing. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/books/NBK470209/ (CCKが胆のうを収縮させ、オッディ括約筋の弛緩に関係すること、胆のう胆汁が胆のう管から総胆管へ流れること、セクレチンが胆管上皮細胞の重炭酸イオン・水分泌を促進し胆汁の十二指腸への流量増加に関係することの根拠として使用。利用者が別環境で本文を直接確認済み)
  • Chiang JYL, Ferrell JM. “Up to date on cholesterol 7 alpha-hydroxylase (CYP7A1) in bile acid synthesis.” https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC8291349/ (CYP7A1が古典的胆汁酸合成経路の重要な調節酵素でありコレステロールから胆汁酸を合成する経路に関係すること、BSEPが肝細胞から胆汁側(毛細胆管側)へ抱合胆汁酸を排出すること、NTCPが門脈血側(類洞側・基底側膜)から肝細胞へ胆汁酸を取り込むこと、胆汁酸の多くが回腸末端で再吸収され門脈を通って肝臓へ戻ること、セクレチンが胆管上皮細胞の重炭酸イオン・水分泌に関係することの根拠として使用。NTCP・BSEPの膜局在と輸送方向はこの資料の記述に統一している。利用者が別環境で本文を直接確認済み)
  • StatPearls [Internet]. “Physiology, Bilirubin.” Treasure Island (FL): StatPearls Publishing. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/books/NBK470290/ (肝細胞内でUDP-グルクロン酸転移酵素(主要な分子種UGT1A1)がビリルビンをグルクロン酸抱合し、水溶性が高まり胆汁中へ排出できるようになることの根拠として使用。黄疸・ビリルビン代謝の詳細には立ち入らず概要にとどめている。利用者が別環境で本文を直接確認済み)
  • StatPearls [Internet]. “Biochemistry, Cholesterol.” Treasure Island (FL): StatPearls Publishing. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/books/NBK513326/ (HMG-CoA還元酵素がコレステロール合成の調節に関係すること、肝臓がコレステロール代謝の中心的器官の一つであることの根拠として使用。肝臓の機能一覧における補足にとどめ、コレステロール代謝経路やスタチンの詳細には立ち入っていない。利用者が別環境で本文を直接確認済み)
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